製造設備に関わっていると、「インバータ」という言葉を目にする機会があります。しかし、モーターの回転数を調整する装置だと知っていても、どのような仕組みで制御しているのか、なぜ工場設備で使われているのかまでは分かりにくいことがあります。
そのため、仕組みと用途を理解しておくことで、自社設備に導入する意味や確認すべきポイントを判断しやすくなります。
この記事では、インバータの基本やモーター制御の仕組み、製造設備での主な活用方法をわかりやすく解説します。
H2直下は短めの導入にしています。
インバータとは
インバータは、製造設備で使われるモーターの動きを調整するための装置です。まずは、どのような役割があり、どんな設備で使われているのかを確認していきましょう。
モーターの回転数を調整する装置
インバータは、モーターへ供給する電気の周波数や電圧を変えることで、回転数を調整する装置です。
モーターを一定速度で動かすだけでなく、設備の運転条件に合わせて回転を速くしたり遅くしたりできます。
たとえば、コンベアの搬送速度を変えたり、ファンの風量やポンプの流量を調整したりするときに使われます。
ON・OFF制御との違い
ON・OFF制御は、モーターを動かすか止めるかを切り替えるシンプルな制御です。一方、インバータ制御では、モーターを動かしたまま回転数を細かく調整できます。
そのため、必要なときだけ全速運転するのではなく、設備の状況に合わせて速度を変えながら運転できます。
また、急に起動・停止するのではなく、徐々に加速・減速させる制御も行いやすくなります。
インバータが使われる主な設備
インバータは、回転速度を調整したいさまざまな製造設備で使われています。
代表的なのは、ファン、ポンプ、ブロワ、コンベア、搬送装置などです。設備によっては工作機械や生産ラインの駆動部分にも利用されます。
特に、運転状況に応じて速度や流量を変える必要がある設備では、インバータを使うことで柔軟な制御がしやすくなります。
インバータの仕組みをもう少し具体化する
インバータでモーターを制御する仕組み
インバータは、入力された交流電源をそのままモーターへ送るのではなく、内部で電気を変換してから出力します。ここでは、その基本的な流れを順番に見ていきましょう。
交流をいったん直流に変換する
まず、電源から入力された交流をコンバータ部で直流へ変換します。
家庭や工場で使われる電源は交流ですが、インバータでは一度直流に変えることで、その後に必要な周波数や電圧へ調整しやすくしています。
変換された直流は、直流回路を通って次のインバータ部へ送られます。
必要な周波数・電圧の交流に変換する
次に、直流回路を通った電気をインバータ部で再び交流へ変換します。
このとき、単に元の交流へ戻すのではなく、設備の運転条件に合わせて周波数や電圧を調整します。
これにより、モーターへ送る電気を細かく制御できるようになります。
周波数を変えてモーターの回転数を調整する
交流モーターの回転数は、供給する電気の周波数と関係しています。そのため、インバータで周波数を変えることで、モーターの回転数を調整できます。
たとえば、周波数を下げれば回転数を抑え、上げれば回転数を高めることができます。
この仕組みによって、コンベアの搬送速度やファンの風量、ポンプの流量などを、設備の状況に合わせて調整できます。
製造設備でインバータを活用するメリット
インバータは、設備の運転条件に合わせてモーターを細かく制御できる点が特徴です。ここでは、製造設備で活用する主なメリットと、導入時に確認したいポイントを見ていきます。
設備に合わせて回転速度を調整できる
インバータを使うと、モーターの回転速度を設備の状況に合わせて調整できます。
たとえば、生産量に応じてファンの回転数を下げたり、搬送物に合わせてコンベアの速度を変更したりできます。
常に一定速度で運転するのではなく、必要な条件に合わせて動かせるため、設備の使い方に柔軟性を持たせやすくなります。
ファンやポンプの省エネにつながる場合がある
ファンやポンプでは、必要な風量や流量に合わせて回転数を下げることで、消費電力を抑えられる場合があります。
従来のようにダンパーやバルブで流量を絞るだけでなく、モーター自体の回転数を調整することで、無駄な運転を減らしやすくなります。
ただし、省エネ効果は設備の運転条件や使用時間によって異なります。導入前には、現在の負荷や運転状況を確認することが大切です。
起動や停止をなめらかにしやすい
インバータでは、モーターを急に全速で動かすのではなく、徐々に回転数を上げたり下げたりできます。
これにより、起動時の急激な動きや停止時の衝撃を抑えやすくなります。
搬送設備や回転機器などでは、急な加減速による機械的な負荷を減らす目的でも活用されます。
コンベアや搬送設備の速度調整に活用できる
コンベアや搬送設備では、工程や搬送物に合わせて速度を変更したい場面があります。
インバータを使えば、モーターの回転数を調整して搬送速度を変えられるため、生産ライン全体のバランスを取りやすくなります。
たとえば、前後工程の処理速度に合わせたり、製品ごとに搬送速度を変えたりする場合に活用できます。
導入時はモーターとの適合やノイズにも注意する
インバータは幅広い設備で活用できますが、既存のモーターにそのまま取り付ければよいとは限りません。
モーターの種類や容量、使用する回転数の範囲などを確認し、インバータとの適合を確認する必要があります。
また、インバータのスイッチングによって電気的なノイズが発生し、周辺機器へ影響する場合があります。配線方法や接地、必要に応じたノイズ対策も検討しましょう。
設備の運転条件や周辺環境まで確認したうえで導入することが重要です。
まとめ|設備に合ったインバータ制御を検討しよう
インバータは、周波数や電圧を調整してモーターの回転数を制御する装置です。ファンやポンプ、コンベアなど、さまざまな製造設備で活用されています。
設備に合わせて速度を調整することで、省エネや起動時の負荷軽減につながる場合もあります。
ただし、効果は設備の運転条件によって異なります。導入する際は、モーターとの適合や必要な容量、周辺機器への影響なども確認し、設備に合った制御方法を検討しましょう。
