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電気設計CADとは?図面作成の基本から3D CADの種類・選び方まで解説

製造設備やプラント、建築設備の電気設計では、回路構成や配線情報を図面として整理する作業が欠かせません。設備の制御や電源供給を正確に設計するためには、機器同士の接続関係や配線ルートを明確にし、関係者が理解できる形で図面化する必要があります。その設計作業を効率的に進めるために利用されるツールが電気設計CADです。

近年では、従来の平面図面だけでなく設備構造を立体的に確認できる3D CADを取り入れる設計手法も広がっており、機械設計と電気設計を連携させながら設備開発を進めるなど、設計環境のデジタル化が進んでいます。この記事では、電気設計CADにおける基本的な役割から、図面作成の流れ、主な機能、設計効率を高めるメリット、さらにCADソフトの種類や選び方までを整理しながら解説します。

電気設計CADとは?

電気設計CADとは、電気回路や配線構成、機器配置などをコンピュータ上で設計するソフトウェアです。CADは「Computer Aided Design(コンピュータ支援設計)」の略称であり、設計業務をデジタル環境で支援するツールを指します。

製造設備の電気設計では、回路図、配線図、制御盤配置図など複数の図面を作成し、それぞれの内容を整合させながら設計を進めます。これらの図面は相互に関連しているため、どこか1箇所を変更すると他の図面にも影響が及びます。CADを活用すると、設計情報をデータとして管理できるため、変更箇所の確認や図面修正を効率的に行えます。

自動化設備や大型装置の設計では、数百本から数千本の配線を扱うケースも珍しくありません。配線番号や端子番号を正確に管理することが設計品質に直結します。電気設計CADではこれらの情報を一元的に管理できるため、設計作業の整理がしやすくなります。

そのため電気設計CADは単なる図面作成ツールではなく、設計情報を管理する設計基盤として利用される場面も増えています。

電気設計CADで作成する主な図面

電気設計では、設備の構成や制御内容を明確にするために複数の図面を作成します。電気設計CADはこれらの図面作成を効率化する役割を担います。

回路図

回路図は機器同士の電気的な接続関係を示す図面です。リレー、接触器、センサー、PLCなどの機器をシンボルとして表し、電源や信号の流れを整理します。設備の動作ロジックを理解するうえで重要な図面といえます。電気設計CADでは、機器シンボルをライブラリとして利用できるため、設計者は必要なシンボルを選択して配置するだけで回路構成を作成できます。図面作成の作業効率が向上するだけでなく、図面の表記ルールを統一しやすくなります。

配線図

配線図は、回路図で定義された接続関係を具体的な配線情報として整理する図面です。端子番号やケーブル番号、接続先などを示し、施工や組立作業で参照されます。CAD環境では配線番号や端子番号をデータとして管理できるため、番号重複や接続ミスの確認がしやすくなります。設計段階で配線情報を整理することで、製造工程での作業効率にも良い影響を与えます。

制御盤配置図

制御盤配置図は、制御盤内部の機器配置を示す図面です。ブレーカー、電源装置、PLC、端子台などの機器をどの位置に配置するかを検討します。機器配置は配線のしやすさや放熱、保守性にも影響するため、電気設計と機械設計の両方を考慮する必要があります。近年では、制御盤内部のスペースや配線経路を確認するために3D CADを利用する設計手法も広がっています。

電気設計CADの主な機能

電気設計CADには、図面作成を支援する機能が数多く搭載されています。これらの機能を活用することで、設計作業の効率と精度を高めることができます。

①    電気シンボルライブラリによる図面作成の効率化

電気図面では、機器をシンボルとして図面上に配置します。電気設計CADには、リレーやセンサー、PLCなどのシンボルがあらかじめ登録されており、必要な機器を選択して配置できます。標準化されたシンボルを利用すると図面作成の手間を減らせるだけでなく、設計者間で表記ルールを統一しやすくなります。設計品質の維持にもつながる機能です。

②    配線接続情報の管理と整合チェック

電気設計では多数の配線情報を扱うため、接続関係の管理が重要になります。電気設計CADでは配線番号や端子番号をデータとして管理できるため、接続関係を整理しやすくなります。一部の電気CADには接続整合チェック機能が備わっており、回路接続の不整合や配線番号の重複を確認できます。設計段階で問題を把握しやすくなるため、後工程のトラブル防止にもつながります。

③    部品情報の管理と部品表作成

電気設計では図面だけでなく、使用する部品情報の整理も重要です。CADでは機器や部品の情報を登録し、図面データと連動した部品表を作成できます。設計データから部品リストを作成すると、購買部門や製造部門との情報共有を進めやすくなります。設計変更が発生した場合でも部品情報を整理しやすくなります。

電気設計CADを使うメリット

電気設計CADを活用すると、設計業務の効率向上や設計品質の改善につながります。設備設計では設計変更や仕様調整が発生する場面も多いため、CAD環境の活用が重要になります。

設計ミスを減らすチェック機能がある

電気設計では多数の接続情報を扱うため、人による確認だけではミスを見落とす可能性があります。CADの整合チェック機能を利用すると、接続関係の矛盾や配線番号の重複などを確認できます。設計段階で問題を把握できるため、製造工程や施工工程でのトラブルを減らす効果が期待できます。

設計変更への対応を効率化できる

設備設計では仕様変更や機器変更が発生するケースも多く見られます。紙図面の場合、変更箇所が増えるほど修正作業の負担が大きくなります。CAD環境では設計データを更新することで関連図面の修正作業を進めやすくなります。変更対応の効率化は設備開発全体の生産性向上にもつながります。

設計データの共有と再利用できる

CADデータは電子データとして管理できるため、設計部門だけでなく製造部門や施工部門とも共有しやすくなります。設計情報をデジタルデータとして扱うことで、設備開発の情報共有を円滑に進めることができます。さらに、過去の設計データを再利用することで、新しい設備設計の効率化にもつながります。

電気設計CADの種類とソフトの選び方

電気設計CADにはさまざまな種類のソフトが存在します。設計対象や業務内容ごとに適したCADが異なるため、導入時にはいくつかの視点から検討することが重要です。

【ステップ①】汎用CADと電気専用CADの違いを知る

CADソフトは大きく「汎用CAD」と「電気専用CAD」に分類できます。汎用CADは建築や機械設計など幅広い用途で利用される設計ツールです。基本的な図面作成機能を中心とした構成となっており、電気図面の作成にも利用されます。

一方、電気専用CADは電気回路設計に必要な機能を備えたソフトです。配線番号の管理や部品表作成、接続整合チェックなどの機能を利用できるため、電気設計業務の効率化につながります。

【ステップ②】2D CADと3D CADの使い分け方を知る

電気設計CADは、図面表現の方法によって2D CADと3D CADに分けることができます。2D CADは平面図面を作成する設計ツールであり、回路図や配線図などの電気図面作成で広く利用されています。電気設計の基本図面では2D CADが中心となります。

3D CADは設備構造を立体的に表現できる設計ツールです。制御盤内部の機器配置や装置構造を立体的に確認できるため、機械設計との連携が必要な設備設計で活用されるケースが増えています。

【ステップ③】電気設計で使われるCADソフトの例を知る

電気設計で利用されるCADソフトにはさまざまな製品が存在します。設計規模や業界によって採用されるソフトは異なりますが、代表的な例として次のようなCADが知られています。

  • AutoCAD Electrical
  • EPLAN
  • ECAD DCX
  • SolidWorks Electrical

それぞれ機能や設計思想が異なるため、設計対象や業務内容に適したソフトを選定することが重要です。

まとめ

電気設計CADは、回路図や配線図などの図面作成を効率化するだけでなく、設計情報を統合的に管理するための重要な設計ツールです。設備の高度化に伴い電気設計で扱う情報量も増加しており、CADを活用した設計環境の整備が重要になっています。

さらに近年では3D CADを活用した設計手法も広がり、機械設計と電気設計を連携させた設備開発が進んでいます。電気設計CADを適切に活用することで、設計ミスの低減や設計変更への対応力向上につながります。製造設備や自動化装置の開発では、電気設計の品質が設備全体の信頼性にも影響します。CADを活用した設計環境の整備は、安定した設備開発を進めるうえで重要な取り組みといえるでしょう。

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